2019-01-01から1年間の記事一覧
およそ1ヶ月前、9月16日の夕方、僕は病院のテレビの前で舞い上がっていた。 端的に言えば、自分がテレビに映るからだった。 3ヶ月前、NHKのドキュメンタリー番組シリーズにおいて、白血病を題材にした作品を作るという話をもらい、主人公なる患者の知り合い…
昨日の昼下がり、病棟のマッサージチェアで寛ぎながらTwitterのタイムラインが更新されていくのを携帯でぼんやり眺めていると、ある女性の久しぶりのツイートが流れてきた。 メモアプリで書いた文章のスクリーンショットだけが添付された無機質なツイート。…
苦楽相伴うこの世界を、なるべく綺麗な色彩で見てこられたと僕は感じている。 もともと、僕にとって世界はだいたい明るい場所だった。苦難から実になる要素を抽出する力は、物心ついたときから持っていた。 先天的なものがすべてだとは思わない。家族や親友…
これは僕の患者仲間が前から主張していることだけれど、今改めて自分の心でそう思ったので記しておきたい。 「若いのに、かわいそう」 僕らAYA世代のがん患者の中で、この言葉を言われたことのない人の方が少ないのではないかと思う。 「若い」と「かわいそ…
6月2日、何がきっかけだったのかはわからない。何かの薬のせいなのか、病気に対する識閾下の不安や不満が爆発したのか。 その日、朝起きてから、何をしても楽しくなかった。 何をすることも無価値で馬鹿馬鹿しく思えた。 今まで、高熱やひどい痛みで、生きる…
突然だけれど、文章だけで人を感動させられる人を、素直に尊敬する。 溢れる思いの丈を、美しい言葉選びや、わかりやすい比喩で、的確に文字に起こしていく。緩急を付け、引用や対比等の技法を駆使して、読む人の心を揺さぶる。 僕もそういうセンスを持って…
半年前、病名を知った直後、自分に降りかかっているあらゆる未知をとにかく理解しようとした。全部受け入れてから前に進もうと思った。 予後・治療・生存率。調べ、読み込んだ。 「生」と「死」について考えた。 考えて、考えて、考えて… 病棟は命と戦う現場…
京大生の白血病患者の彼とは昨年、入院中に知り合った。 彼とはあまり院内で話すことはなかった。というのも、とても忙しそうだったから。 それもそのはずで、彼には入院を理由に卒業を遅らせるつもりはないのだった。食堂(フリースペース)で教科書を読んだ…